1日8時間を超えても残業の支払いは必要ないの?
ご存知のとおり、労働基準法では、原則1日8時間、週40時間と決まっています。
ただ会社によっては定められた1日の労働時間(所定労働時間)が
9時間や8時間半、場合によっては10時間のところもあります。
これって大丈夫なのでしょうか。
結論から言うと、変形労働時間制を適用し、就業規則や労使協定に
定めがあれば大丈夫です。
具体的に言うと1日8時間、週40時間が原則と決まっている労働時間ですが、
変形労働時間制を適用することで1日8時間を超えたとしても残業の支払いが
必要がないことがあります。
ただし、先に伝えておきますが、法定労働時間を超えて労働者を働かせる場合には、
労働者の過半数代表(または労働組合)との間に、「時間外労働・休日労働に関する協定」を
(いわゆる36協定)締結し、労働基準監督署に届け出なければなりません。
この36協定を出すことで残業を命令し、残業をしてもらうことが可能となるのです。
代表的な変形労働時間制として、
●1ヶ月単位の変形労働時間制
1ヶ月以内の一定期間を平均し、1週間当たりの労働時間が法定労働時間を超えない
範囲内において、特定の日又は週に法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。
飲食店、小売業、保育園、運送業などのシフト制を組んでいる業種・業態で多く採用されています。
例えば月~木を1日7.5時間、金曜日は1日10時間と設定することも可能です。
★ここでは、例えば金曜日は、労働時間10時間とします。
(10時間を超えたら割増賃金の残業の支払いとなります)
また、1ヶ月の中で20日過ぎが業務が混む仕事であれば、20日~31日を通常より多く
労働時間を設定することもできます。
●1年単位の変形労働時間制
1ヶ月を超え、1年以内の一定の期間を平均し、1週間当たりの労働時間が40時間以内において、
特定の日又は週に1日8時間又は1週40時間を超え、一定の限度で労働させることができる制度です。
ただし、1日の労働時間の限度は10時間と定められています。
隔週土曜日出勤があり、週6日労働だとしても、年間(またはその期間)で週40時間を超えなければ
問題ありません。
業務の繁忙期など季節変動がある業種や年間の労働カンレンダーを組んでいる場合、
建設、製造業、サービス業、ホテルなどの業種で適用されています。
ちなみに特定の業種に該当すれば、通常1週間の労働時間が週40時間のところが
週44時間とすることも可能です。
●法定労働時間の特例 1週間44時間
10人未満の労働者のいる事業場で、
卸売業、小売業、理美容業、映画・演劇業、保健衛生業などに従事する場合には、
週44時間の労働が可能です。
ただしこの場合は、就業規則や雇用契約書に定めておく必要があります。
労働時間の長さは業種によって様々です。
最近では週4日労働で1日10時間という所もあります。
週40時間以内労働ですから、就業規則や労使協定に定めがあれば可能なのです。
労働時間についてどうしようかなと思っている場合、ぜひご相談ください。
福井の社会保険労務士
北出経営労務事務所/シナジー経営株式会社