健康診断の実施は事業主の義務(一定の労働者)ですが、
実施後の対応については案外知られていないことがあります。
健康診断を実施して、受診した本人は、A判定やD判定などが出て
循環器系や内臓系にちょっと異常があり、気を付けなければいけないなと
認識しますが、事業主としてどのような対応をとればいいのでしょうか。
労働安全衛生法では、
健康診断実施後の事業主の具体的な取組事項として
■健康診断の結果の労働者への通知
健康診断結果は、労働者に通知する必要があります。
ここで、異常の所見(CやD判定・再検査・要精密検査)があった場合、
再受診などの促しをするとよいでしょう。
■健康診断の結果についての医師等からの意見聴取
健康診断の結果に基づき、健康診断の項目に異常の所見のある労働者について、
労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師(歯科医師による健康診断については歯科医師)
の意見を聴く必要があります。
ここで、就労に制限があるのかないのかを医師から意見を聴き安全配慮義務を果たすことが出てきます。
就労に影響がある場合、短時間や配置転換、深夜労働の制限なども必要になってきます。
産業医の先生がいる場合には産業医の先生へ。
50人未満の会社は地域産業保健センターへ依頼するとよいです。
受診後3ヶ月以内に行ってください。
■健康診断の結果に基づく保健指導
健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要がある労働者に対し、
医師や保健師による保健指導を行うよう努めなければなりません。
■ 健康診断の結果の記録
健康診断の結果は、それぞれの健康診断によって定められた期間、
保存しておく必要があります。
・一般の健康診断は5年
・有機溶剤健康診断、鉛健康診断、特定化学物質健康診断(特別管理物質を除く)等は5年
・じん肺健康診断は7年
・特別管理物質にかかる特殊健康診断と電離放射線健康診断、除染等電離放射線健康診断は30年
・石綿健康診断は石綿に係わる業務の離脱日から40年
と定められています。
■ 健康診断の結果の所轄労働基準監督署長への報告
常時50人以上の労働者を使用する事業場の場合、健康診断の結果を労働基準監督署長に
報告する必要があります。
春の健康診断の時期です。
事業主の責任も忘れないようにしましょう。
労働基準監督署の調査では安全衛生に関する内容も調査対象ですので
実施すべきことは行っておきましょう。
福井の社会保険労務士
北出経営労務事務所/シナジー経営株式会社