世界No.1求人サイトとして知られるIndeedが、
20代~50代のフルタイム勤務の正社員2,000名を
対象に実施した「労働時間に関する調査」を
公表しました。
最近では働き方改革などを通じ、総労働時間を
削減しようという動きが進んできましたが、
一方で「もっと働きたい」と考える人も
いるようです。以下では調査の結果を踏まえ、
日本社会における労働時間の現状や今後の
方向性を考えてみたいと思います。
1.約半数は「現状のままでOK」、
一方で「減らしたい」も「増やしたい」も一定数
本調査によると、1か月あたりの労働時間について
「現状を望ましい」と感じる人は46.7%。
全体の半数近くが、今の勤務時間に特に不満を
感じていないことが分かりました。
一方で、「減らしたい」という人は34.9%と
3人に1人以上にのぼり、
「増やしたい」という人も18.4%(約5.4人に1人)
います。
「もっと余暇を持ちたい」「収入を増やしたい」
といった異なるニーズが混在しているわけです。
世代別に見ると、「労働時間を増やしたい」
割合は20代が22.6%で最も高く、
収入アップやキャリアアップに積極的な
若年層の姿がうかがえます。
一方、「労働時間を減らしたい」割合は30代が
38.7%でトップ。
子育てや家族の事情なども加わり、
ワークライフバランスを重視する人が
多いようです。
2.増やしたい理由:「収入」「やるべき仕事」
減らしたい理由:「プライベート」
「身体的・精神的負担」
「労働時間を増やしたい理由」としては、
・収入を増やしたいから(67.1%)
・やるべき仕事が終わらないから(25.3%)
が上位に挙げられました。
20代は、
「キャリアアップ・昇進につながるから」、
30代は
「たくさん経験を積みたいから」
40代は
「やるべき仕事が終わらないから」
という特徴的な傾向が見られ、
世代間で微妙に動機が異なっています。
一方、「労働時間を減らしたい理由」では、
・プライベートの時間を増やしたい(65.6%)
・身体的・精神的な仕事の負担を減らしたい
(48.6%)
が多く、若い世代ほど
「仕事そのものが好きではない」
「家族との時間を確保したい」
など、個々の事情や価値観を重視する人が
多い結果となりました。
3.「短くすべき」「柔軟性を持たせるべき」で
意見が分かれる
労働時間に対する姿勢は大きく二分されています。
・「常にできるだけ短くしたい」派(52.7%)
・「ライフステージや年齢に応じて柔軟に
調節したい」派(47.3%)
また、「社会的に一律で労働時間を減らす
努力をすべき」か、「個人の考えを尊重し、
長く働きたい人にも選択肢を用意すべきか」
でも、ほぼ半々(48.4%:51.6%)に
分かれており、“一律の短縮”ではなく、
“柔軟性”を求める声も相当に根強いことが
うかがえます。
このような結果を見ると
「もっと収入を得たい」「キャリア形成のために
働きたい」という意志を持つ人が一定数いるにも
かかわらず、従来の「労働時間はなるべく短く」
という意識が強い社会では、その意欲が十分に
生かされない恐れがありますね。
逆に、「体力的につらい」「子育てや介護と
両立したい」などの事情がある人には、
短い労働時間で働き続けられる選択肢が
必要ということになります。
もちろんこれには収入などの課題も関係します。
労働時間に対する考え方は多様化しており、
どちらか一方に合わせた“画一的な制度”ではなく、
個人の状況やライフステージに合わせて時間を
調整できる仕組みが求められていると
いえるでしょう。
中小企業でどこまで対応できるかという
課題はありますが前向きに取り組むことも
労働力不足が進むこれからの時代、必要ですよね。
福井の社労士
シナジー経営社会保険労務士法人
シナジー経営株式会社