2015年に業務終了後、体調不良を訴え、
急性心不全で死亡した男性社員について、
京都下労働基準監督署が「過労死ライン」
に満たない残業時間でも
労災認定を認めました。
今まで過労死ラインは月80時間の残業時間
がひとつの目安となっていましたが、
2021年に厚生労働省は、過労死を含む
脳や心臓疾患の労災認定基準を改定し、
残業時間が過労死ラインに達しなくても、
深夜勤務や過酷な作業環境などを
負荷要因として評価することを明確化
しました。
それにより、月80時間未満の残業でも
勤務状況により労災認定が
認められるようになっていました。
月80時間の残業と言うと
月20日勤務で1日4時間程度残業
する計算となります。
今回の労災認定は、直近2ヶ月の
月の残業時間が平均74時間でしたが、
空調設備がない中での
高温スチーム洗浄作業が
「過酷な作業環境」に当たるとして
2015年当時は労災認定を認めて
いなかったですが、2022年に
遺族が再申請し今回認められた
ようです。
建設、運送、医師など労働時間の
規制が猶予されている業種でも
2024年からは上限規制が適用されます。
合わせて2023年4月からは
月60時間以上の残業について
中小企業は1.5割増しの賃金となります。
適正な労働時間の把握と労働環境の見直しは、
今のうちから取り組むべき課題です。
福井の社会保険労務士
北出経営労務事務所/シナジー経営株式会社