月1時間の残業でも書類送検に?

先日、報道で目にしたニュースが気になりました。

大阪市内の訪問介護事業を営む会社が、

従業員にわずか月1時間程度の残業をさせたことを

理由に、労働基準法違反の疑いで書類送検された

というものです。

 

 

「月1時間で送検とは厳しすぎる」

と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、

問題の本質は残業時間そのものではなく、

そもそも有効な36協定が存在しなかった、

という点にあります。

報道によれば、この事業所は36協定を締結し

届け出ていたものの、過半数代表者の選出手続きに

不備があったとされています。

 

 

36協定が法的な効力を持つためには、

労働者の過半数で組織する労働組合がない場合、

投票や挙手など民主的な方法によって選ばれた

過半数代表者と協定を結ぶ必要があります。

会社側が一方的に人を指名したり、

親睦会の代表者がそのまま横滑りしたりするような

選出方法では、協定自体が無効と判断される可能性が

あります。

実際に、親睦会の代表者が締結した36協定の有効性が

争われた裁判例でも、同様の理由で協定が無効と

されたことがあります。

 

今回のケースで注意したいのは、

たとえ残業が月1時間であっても、

有効な36協定がない状態で法定労働時間を

超えて労働させた以上、

労働基準法32条違反に問われうるという点です。

協定の届出が受理されていても、

その前提である選出手続きが適正でなければ、

協定そのものが効力を持たないことになります。

 

今一度、自社の選出プロセスを振り返って

いただくことをお勧めします。

残業時間の長短にかかわらず、

協定そのものの有効性が問われれば、

会社として是正を求められることになりかねません。

小さな手続きの積み重ねが、労務管理全体の土台を

守ることにつながるのだと、

改めて感じたニュースでした。

 

福井の社労士

シナジー経営社会保険労務士法人

シナジー経営株式会社

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